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CEOメッセージ

一人ひとりがチャレンジすること、それが当社の「復活と成長」を 実現する原動力です。

「復活と成長」の実現

2022年4月1日に代表取締役社長執行役員に就任し、1年半が経過しました。就任当初、私は、常に心掛けていることとして「どんな環境下においても覚悟を持って責任を果たしていく」とお伝えしました。その趣意は、成果を生み出すために何ができるのかを考え、懸命に行動していくことが重要ということです。それがまさに「いま」と考えています。当社は、2021年5月に第六期中期経営計画(以下第六期中計)を発表しましたが、製油業界を取り巻く外部環境が大きく変化したことで、策定当初と比べて計画と実態との乖離が大きくなったため、2022年11月に見直しを行いました。第六期中計見直しの背景や具体的な内容については、「第六期中期経営計画の見直し」とP22「第六期中期経営計画の見直しの具体的な取り組み」で改めてご説明いたします。
第六期中計の見直しで設定している目標数値を達成し、当社の「復活と成長」を実現するために、私自身もチャレンジしますし、従業員に対してもチャレンジを促していきます。そうすれば結果は必ずついてくると考えています。当社グループの今後に期待していただければと思います。

チャレンジする企業風土への変革

当社が直面する難局を乗り越え、「復活と成長」を実現するためには、経営陣だけではなく従業員一人ひとりが、新しいことにチャレンジする必要があります。全員がチャレンジしやすくするために企業風土ごと変えていきたいと考えています。当社はどちらかというとマイルドでおとなしい気質で、それが厳しい事業環境において裏目にでてしまった感があります。非常に優秀な従業員が数多くいますので、私は社長の役割としてその背中を押し、チャレンジする勇気を持たせたいと思っています。
企業風土を変革することは、終わりのない挑戦です。チャレンジする文化を醸成するために、各部門や各事業所を訪れ、小規模の座談会を実施し、従業員とのコミュニケーションを図ってきました。また、四半期に1度は、オンライン上で大規模なコミュニケーションの場を設け、業績をはじめ全社目標や、現状、課題などを伝えるとともに、従業員から寄せられる質問や意見に対して、私をはじめとする経営陣の考えを直接説明しています。このような従業員とのコミュニケーションが、企業風土の変革につながると考え、積極的に取り組んでいます。
私は従業員に常に3つのことを伝えています。一つ目は、先ほどから申し上げていますように、チャレンジしてほしいということです。ただ、闇雲にチャレンジしてくださいと言っても誰も動きません。チャレンジは公平な評価制度とセットであることが必須です。私は、思い切ってチャレンジした従業員に対して、仮に失敗しても責任は問わないと明言しています。ただし、これは中長期のチャレンジの話です。短期の収益はもちろん別の考え方となり、例えば、月次の売上計画は資金計画や利益に影響しますので、ここはチャレンジではなく、数字に責任を持ってもらう必要があります。
二つ目は、目標を設定する際には、少し背伸びをしたターゲットにしてほしいということです。例えば、10万トンの製品を生産する工場があったとします。その工場の操業の習熟度が上がり、11万トンの製品を生産することができたとします。
その時、あなたが責任者の立場で翌年の目標を立てる際に、設計上の生産能力である10万トンをベースに考えるか、それとも現在の生産量である11万トンをベースに考えてさらに高い目標を設定するか、どちらでしょうか。10万トンの生産規模なので、10万トンを目標とすれば、目標を達成できると考える人もいるでしょう。一方、すでに11万トンを生産しているので、より効率を上げることで生産量を増やし、さらに高い数字である12万トンの製品を生産できるという目標を掲げる人もいるでしょう。この話は例え話にすぎませんが、私はこの話でいえば12万トンの目標を掲げるような、いまよりも高い目標を掲げる人を評価したいと考えています。少し背伸びした目標を掲げ、それに向かってチャレンジしたかどうかで成長の度合いに大きな差がでます。これは私自身の経験でもあります。チャレンジする従業員が少しずつ増えることで、当社は必ず変わっていくと思います。
三つ目は何か改善すべき課題に気付いた時や提案すべきことがある場合には、声を上げてくださいということです。例えば、当社は各工場の稼働率が必ずしも高いわけではありません。工場の稼働率の改善は、単位当たりのコスト低減を通じて、競争力が向上します。このような全社的課題に対して、これまでの手法を変えることを恐れずに改善提案をしてほしいと考えています。社内での健全な競争を私は否定しません。これまでは提案がし難い空気感があったかもしれませんが、改善すべき課題に気付いた時や提案すべきことがある場合には、声を上げてほしいと考えています。
当社の従業員は真面目でどちらかというとおとなしく、変化やチャレンジを自ら言い出す意識が希薄であったように思います。しかしながら、就任から1年半が過ぎ、最近社内の雰囲気が変わりつつあると感じています。会社が良い方向に変わることについて積極的な提案をしてくれる人を後押ししたいですし、社内の異動を増やすことでその機会が増えることを期待しています。最近は若手の管理職登用を進めており、これも能力に応じて年齢に関係なく活躍できる、という社内に向けたメッセージになるのではないかと思います。若手を優遇するということではないですが、機会均等を基本に能力に応じた評価を行うことで、当社の文化や従業員の意識を変えていきたいと考えています。

企業理念体系への想いと機構改正

組織において、私たちが常に立ち返り、目指すべきものを共有できることが非常に大切です。これが共有されていないと迷走してしまう可能性があります。何に価値を置き、何が大事で、企業としてどのように存在していくのかということを、従業員が確認しあえることが重要で、当社はその観点から企業理念体系を制定しています。「目指すべき未来」や「私たちの価値/存在意義」は、非常に良く表現されており、多様なステークホルダーに対して分かりやすくお伝えすることができていると思います。当社では、企業理念体系をとても大切にしていますし、全社の各拠点を訪れるキャラバンでも企業理念体系を浸透させるための取り組みを重要視しています。
企業理念体系について課題を挙げると、他言語に翻訳されたときの分かりにくさです。現在の企業理念体系は日本語で読まれ、理解されることを基本として制定されているため、ほかの言語に翻訳されたときに分かりやすいとはいい難いように感じています。今後、国内市場は少子高齢化により人口構造が大きく変化していきます。生活者の購買行動や嗜好も変わっていくでしょう。そのなかで当社が持続的な成長を果たすためには、海外市場をターゲットに収益拡大を図らなければなりません。その時に、海外の人たちにも当社の企業理念体系を大事なこととして理解していただくためには、どうあるべきかということも考えていく必要があると思います。このことについては、社内で議論の場をつくるなどして、今後の課題として検討を進めていきます。
2023年7月1日付で機構改正を実施しました。今回の機構改正は、機能別に組織を再編するとともに、新たにCxO体制を導入することで、執行責任を明確化し、第六期中計の見直しで掲げた構造改革、成長戦略、投資戦略にスピードを上げて取り組んでいくことを目的としています。実行するべきことに責任者がコミットして、目標として掲げた数値と結果に責任を持つ、そのためのCxO体制です。
私が社長に就任してからも業績計画の下方修正を余儀なくされることがありましたが、当社の文化として、業績計画が下方修正されるとそれまでの計画がリセットされ、最初にやると決めたことが曖昧になる傾向がありました。私はリセットするのではなく、やると決めたことの責任にこだわりたいと思っています。そのため、責任を持つ担当者が、責任をもって結果を出すというCxO体制の導入を決定しました。
今回のCxO制度では、収益、成長、基盤の3つの領域があり、COOがそのなかで非常に大きな役割を持ち、収益に対する多大な責任を担います。CTOは生産拠点の統廃合や不採算事業などを含む基盤整理に責任を持ちます。例えば、初期投資が必要な育成事業の場合、先行投資負担から当初赤字になってしまったとしても、3年後、5年後には必ず収益を出せる事業にしたいと考えています。こういった事業についてはCOOのもとで、結果がコミットできるようなかたちを目指します。また、マーガリン事業のように、生産を海外に移管して競争力を高めたい場合、生産の移管には技術、生産、品質が多岐にわたり関連してきます。CTOはこうした技術的な要素が収益に大きく影響する事業において、結果にコミットしていきます。
体制面では、油脂事業本部とスペシャリティフード事業本部の2事業本部で運営していましたが、今回の機構改正では機能別に組織を再編することにいたしました。それぞれの事業の売上規模に差があり、収益性や事業の成長ステージも異なります。そこで、並列した事業本部という位置付けではなく、各部署がもっと能力を発揮できるようなかたちに組織を改めました。特に、これまで海外事業は、各事業本部において展開していましたが、北米やASEANの事業拡大に向けた今後の海外展開を見据え、海外事業部という専任部署を新設しました。
ここ数年の厳しい事業環境は、徐々にではありますが、改善の方向へと落ち着きを取り戻していると思います。このような事業環境において2023年度は、当社の「復活と成長」の第一歩として、いかに迅速に利益水準を高めていけるかに注力しています。引き続き当社グループへのご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

コミュニケーションブランドの育成

2021年4月に、当社は「J-オイル」というコミュニケーションブランドを導入しました。私は、コミュニケーションブランドを会社の顔だと思っています。コミュニケーションブランドが浸透し、私どもの認知度がアップすることで、我々がより選ばれる会社になると考えています。当社の商品を購入していただける、あるいは当社で働きたいと思っていただける、そういう「きっかけ」となるよう、コミュニケーションブランドの育成は重要です。
この2年間は非常に厳しい事業環境にありましたので、コミュニケーションブランドの育成に十分といえる経営資源を投下することが叶いませんでした。当社は、企業理念体系において、「おいしさ×健康×低負荷」で人々と社会と環境へのよろこびを創出することを目指すべき未来として掲げています。
特に、独自性が高い商品の提供を通じて、当社が獲得したい「地球環境に配慮している」「挑戦する意思が見える」「社会課題に向き合っている」というブランドイメージを高めたいと考えています。そのためにも、今後は投資も含め積極的にコミュニケーションブランドの育成に取り組んでいく所存です。

社長と若手社員の対話の様子

サステナビリティ

当社は食に関する領域で事業を展開している企業であり、全ての原料を自然から得られる植物に依存しています。そのため、地球環境のバランスが崩れてしまうと、当社そのものが立ち行かなくなるリスクがあると認識しています。従って、当社が持続可能な企業であるために、サステナビリティ課題の解決に向けた取り組みは、絶対に必要なことであると考えています。
私自身が強くコミットし、常に当社の中長期的なサステナビリティを高めることを意識していますが、一方で、サステナビリティだけを重要視して、ほかの短期的な重要課題を犠牲にするわけにはまいりません。どちらもおろそかにすることなく、全体のなかでバランスをとりながら、企業価値の向上につなげたいと考えています。
2023年度、当社はマテリアリティを見直しました。マテリアリティを事業戦略に関わる重要課題として2項目、事業基盤に関わる重要課題として2項目の合計4項目に改めました。マテリアリティ、つまり重要課題を絞ることで、全ての従業員がそらんじて言えるくらいまで、当社が大事に取り組んでいくことを認識してほしいと思っています。
サステナビリティ推進は、社内のどこかの部署の誰かがやっているという意識では不十分です。全ての従業員が自分ごととして認識し、推進に向けたそれぞれの役割を果たすことが重要であると考えています。そのためには、具体性を持たせるかたちで業務や評価に落とし込む必要があります。現在、役員報酬との連動というかたちで、ようやく執行役員レベルがその認識を持ち始めたところですが、今後、組織や部署、チームの目標を設定する際には、マテリアリティ、あるいはサステナビリティを意識するかたちで組み込んでまいります。この取り組みが、概念だけでは終わらせずに実行力を高めるための重要なポイントだと考えています。

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