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日本人の食・健康問題と、広がる植物性代替食品への期待

私たち日本人の食生活は、いわゆる「食の欧米化」として、肉類や乳製品由来の動物性脂質摂取比率の増加が問題視されています。
そうした時代背景の中で、今注目されているのが「植物性代替食品」です。
日本人の食と健康の問題を知り、おいしく健康づくりを支える植物性代替食品の特長や魅力を知りましょう。

監修 Eatreat株式会社 管理栄養士 広田千尋

食の欧米化の問題点とは?

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ハンバーグやステーキなどの肉料理、チーズたっぷりのピザ、ハンバーガーやフライドポテトなどのファストフード……。私たちの周りには、さまざまなおいしい料理があふれています。
豊かな食の楽しみがある一方で、肉類や牛乳・乳製品などをとる量が多い食生活は「食の欧米化」として、健康への影響が問題視されています。
なぜ問題があるのか、またどのような影響があるのか、詳しく知っておきましょう。

動物性脂質摂取比率の増加

食の欧米化で問題の一つとして挙げられるのが、肉類や乳製品由来の動物性脂質摂取比率の増加です。
脂質の総摂取量に占める動物性脂質摂取量の割合は、年々増加しています。

脂質に占める動物性脂質比率の推移(1歳以上)
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「国民健康・栄養調査 主な健康指標の経年変化:栄養摂取状況調査」をもとに作成
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html

動物性脂質の比率が増えることによる問題は、生活習慣病との関わりです。特に脂質異常症は、肉類や乳製品に含まれる飽和脂肪酸のとりすぎが原因の一つとなるため、まさに食の欧米化が関わる問題です。
また、脂質の過剰摂取によるカロリーのとりすぎがあれば、肥満から健康へのさまざまな影響を招いてしまうことも考えられるでしょう。

生活習慣病の増加

食の欧米化は生活習慣病との関わりが強いと考えられますが、以前に比べ生活習慣病はどのくらい増えているのでしょうか。推移を見てみましょう。

生活習慣病患者の推移(年齢計)単位千人
厚生労働省「患者調査」 (1996-2020) をもとに作成
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/
(注)年齢計であるため高齢化の影響も含む

生活習慣病に含まれる脂質異常症・糖尿病・高血圧性疾患のいずれも、年々増加していることがわかります。生活習慣病はその名の通り、生活習慣が深く関わった病気です。食生活の変化も、生活習慣病の増加に関わっているといえるでしょう。
生活習慣病の怖さは、初めのうちは自覚症状がないところにあります。そして、そのまま放置するとさまざまな影響を与え、心疾患や脳血管疾患などの重大な病気を招く恐れがあります。
食べすぎや飲みすぎ、また食事の偏りがある方は、できるところから改善していくことが、将来の健康を守るために大切です。

生活習慣病対策には食生活の改善が欠かせない

生活習慣病の対策には食生活の改善が欠かせませんが、中でも野菜や大豆製品などの植物性食品を増やすことは、さまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

カロリーカットに役立つ

動物性食品の摂取量が多い方は、植物性食品を増やすと、食事全体のカロリーを減らすのに役立ちます。これは野菜や大豆製品などの植物性食品は、動物性食品に比べカロリーの低い傾向があるからです。
例えば、牛肉のステーキは1人前(150g)で470kcalほど。しかしレタスを使ったサラダはたっぷり食べても30kcal以下で、木綿豆腐なら1/2丁(150g)食べても110kcalほどです。
特に肉を食べすぎる傾向のある方は、植物性食品を増やすとカロリーカットでき、健康づくりに役立ってくれるでしょう。

肉類の脂質の摂取量を減らせる

肉類や乳製品をとる機会が多い方は、植物性食品に置き換えることで、肉類や乳製品由来の脂質摂取量を減らせます。
肉類や乳製品に含まれる脂質の過剰摂取は、コレステロールを上昇させたり、肥満を招いたりする原因になりかねないため、なるべく過剰摂取は避けたいものです。植物性食品を上手に増やすことで、肉類の脂質のとりすぎを防げるでしょう。

注目の高まる植物性代替食品への期待

皆さんは「植物性代替食品」をご存じですか? 動物由来の原材料を使わず、植物由来の原材料を使用した食品を指し、プラントベースフードともいいます。海外では以前から親しみのある食品でしたが、最近では日本でも人気が高まってきています。
植物性代替食品は、ヴィーガンやベジタリアンといった菜食主義者のためだけではありません。最近では健康志向の高まりから、手に取る人も増えてきています。
主な植物性代替食品と、特長や楽しみ方を詳しく紹介します。

1.植物性ミート

植物性ミートは、植物由来の原材料を使って作られた食品のことです。「代替肉」「プラントベースミート」「大豆ミート」とも呼ばれ、肉に近い味わいが再現されています。
原材料には、大豆・えんどう豆・小麦などの身近なものが使われています。肉類に比べると脂質が少ない傾向があるため、肉のような味わいや食感を楽しみながら、脂質をカットしたいときにも役立つ食品です。

植物性ミート

2.植物性ミルク

植物性ミルクとは、アーモンド・オーツ麦・大豆などの植物由来の原材料から作られる飲料のことです。
いずれも普通牛乳に比べて脂質が少ないだけでなく、それぞれの原材料の風味や甘みを楽しめることが特長です。そのまま飲む以外にも、コーヒーや紅茶とあわせたり、料理に活用したりと、牛乳のようにさまざまな使い方を楽しめます。

植物性ミルク

3.植物性チーズ

植物性チーズとは、植物由来の原材料から作られる、チーズのような味わいを楽しめる食品です。乳製品が使われていないため、乳製品由来の脂質を減らしたいときにも役立ちます。
そのまま食べられるのはもちろん、ピザやサンドイッチなどのさまざまなアレンジも楽しめます。乳製品を使わなくても、食事の選択肢を広げてくれます。

植物性チーズ

食べ物の豊かさは日本の魅力ともいえますが、健康を考えたときにはバランスよく食べることも大切です。今回紹介した植物性代替食品は、最近ではスーパーでも取り扱いが増え、手軽に手に取れる機会が増えてきました。ぜひおいしく健康づくりをする選択肢の一つとして、気になる方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。