持続可能な調達
概要
天然資源から商品を生み出し、お客様に価値ある商品を提供している企業として、油脂の主原料である穀物の持続可能な調達は重要な課題です。近年は気候変動などで穀物の生育が脅かされ、その結果として原材料の価格が大きく変動するリスクも高まっています。自然環境の問題だけでなく、安全性や品質の確保、労働者の人権問題に積極的に取り組むことも求められています。J-オイルミルズは持続可能な原料調達のため、「環境方針」や「人権方針」を基盤に、「サステナブル調達方針・基準」を定め、サプライチェーン全体で持続可能な調達活動を推進していきます。
大豆調達方針
大豆は当社の事業活動を支える重要な原料の一つです。食用油や各種大豆加工食品などの用途に加え、バイオディーゼル燃料、家畜の飼料など食用以外の用途でも広く利用されており、国際的な大豆への需要は増加の一途をたどっています。その一方で、大豆の生産活動によって引き起こされる可能性がある森林破壊などの環境問題、先住民、労働者の人権侵害などといった社会問題の存在が指摘されています。
当社はそうした社会・環境問題を認識し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めるなかで、環境や人権に配慮した大豆の調達を行うため、2022年8月に森林破壊、生物多様性、気候変動、人権尊重、法令遵守の5つのコミットメントに則り、「大豆調達方針」を定め、責任ある大豆に関する円卓会議(RTRS※)に加盟しました。食を支える企業として、社会的責任を果たすためトレーサビリティの向上を目指し、透明で責任ある大豆の調達に努めてまいります。
※Round Table on Responsible Soy Association: 2006年にスイスのチューリッヒで設立された責任ある大豆の生産、取引、利用の拡大を促進する非営利団体です。
パーム油調達方針
アブラヤシから搾油されるパーム油は、我々の生活に欠かせない油脂ですが、近年、その生産過程では森林減少やそれに伴う生物多様性の消失、現地労働者の人権問題などが指摘されています。油脂原料の中でも特に課題の多いパーム油について、責任ある調達を実行するため、J-オイルミルズは2011年に「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に加盟し、横浜工場でRSPO認証パーム油を扱うための工場認証を取得しました。また2020年、環境や人権に配慮したパーム油調達に関する考え方を「パーム油調達方針」として定めています。
パームサプライヤートレーサビリティ調査
2018年度
目標:トレーサビリティの構築
結果:
- パーム油搾油工場までのトレースは98.9%
- パーム油精製工場までのトレースは99.9%
2019年度
目標:トレーサビリティの構築継続
結果:
- パーム油搾油工場までのトレースは98.5%
- パーム油精製工場までのトレースは100%
2020年度
目標:トレーサビリティの構築継続
結果:
- パーム油搾油工場までのトレースは99.7%
- パーム油精製工場までのトレースは100%
2021年度
目標:パーム油搾油工場、パーム油精製工場までそれぞれのトレーサビリティ100%を目指す
結果:
- パーム油搾油工場までのトレースは100%
- パーム油精製工場までのトレースは100%
2022年度
目標:農園までのトレース10%を目指す
- パーム油搾油工場までのトレースは100%
- パーム油精製工場までのトレースは100%
- 農園までのトレースは28.5%
- 精製工場18サイト(トレース100%)
- 搾油工場述べ4,127サイト(トレース100%)
- プランテーション(トレース28.5%)
GH社(グッドホープ社)との取り組み
J-オイルミルズと資本・業務提携をしているPremium Vegetable Oils Sdn Bhd (PVO社)は、マレーシアを拠点とする油脂加工品会社です。PVO社の親会社であるPremium Nutrients
Private Limited(PNPL社)は、シンガポールに本社を置く大手パーム油プランテーションおよび油脂生産事業会社であるGoodhope Asia
Holdings(以下:GH社)の完全子会社にあたります。
GH社は、事業全体において森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(No deforestation, No Peat, No
Exploitation:NDPE)などの原則をサプライチェーン全体に適用し、持続可能性への取り組みにおいて高い評価を獲得しています。また、自社農園のある地域やその周辺地域社会の持続可能な経済活動支援も行っており、その中には小規模農園支援や自社農園内のヘルスケア、教育施設の整備なども含まれています。当社は、GH社との協働を、持続可能な調達のための取り組みとして推進していきたいと考えています。
トレーサビリティ向上への取り組み
自然の恵みから製品を生み出し、お客様に価値ある製品を提供している企業として、製品の原料となる穀物の持続可能な調達は、重要な課題です。
気候変動による穀物の収穫量減少や新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による労働者不足などにより穀物・植物油需給がひっ迫し、その結果として価格変動リスクも高まっています。
また、原料調達においては、安全性や品質の確保、労働者の人権への配慮も重要です。
当社は、持続可能な原料調達のため、パーム油のトレーサビリティ向上に取り組むとともに、大豆調達についても情報収集を開始しました。
企業は新たな課題やニーズを敏感にとらえ、その責任を果たしつつ、新たな価値を提供することにより、環境や社会課題の解決に能動的に取り組まなければなりません。経済、環境、社会・労働環境、すべてにおいてサステナビリティを追求し、ESG経営を推進していきます。
年月 | 活動内容 |
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2019年5月 |
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2019年6月 | RTRS年次総会聴講 |
2019年7月 | カナダ 菜種搾油工場訪問 |
2019年8月 |
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2019年11月 |
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2020年2月 | スペイン 菜種サプライヤー訪問 |
2022年4月 |
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2022年9月 |
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2022年10月 | アメリカ、カナダ産地視察 |
2022年11月 |
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2023年2月 |
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2023年3月 |
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2023年7月 |
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2023年9月 | 米国 大豆産地視察 |
2023年10月 | スペイン、イタリア オリーブオイル農園視察・サプライヤー訪問 |
2023年12月 | ギリシャ、トルコ オリーブオイル農園視察・サプライヤー訪問 |
※2020、2021年度はコロナ禍で海外視察無し
サプライヤーの皆様との取り組み
持続可能な調達の実効性を高めるためにはサプライヤーの皆さまとの協働が重要です。当社は「サステナブル調達方針・基準」を定め、自社だけでなくサプライヤーの皆さまに順守をお願いするとともに、2022年度より国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが作成した「CSR調達セルフ・アセスメント質問表」(GCNJ共通 SAQ)を用いて、原料・資材のサプライヤーへ調査を実施し、サステナビリティへの取り組み状況を確認しています。この質問表は、国際的規範に基づき、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止の4分野に関わる10原則を反映した設問で構成されています。
- 調査対象: 原料・資材調達先
- 調査対象企業カバー率:原料・資材調達金額の約80%
SAQ得点率・評価 | サプライヤー | フィードバック・改善アクション |
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A評価 得点率70%以上 | 80.40% |
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B評価 回答率40-70%未満 | 17.40% | |
C評価 得点率40%未満 | 2.20% | |
回答計 | 100% |