持続可能な調達
概要
自然の恵みから製品を生み出し、お客様に価値ある商品を提供している企業として、原料である植物の持続可能な調達は重要な課題です。近年は気候変動などで植物の生育が脅かされ、その結果として原材料の価格が大きく変動するリスクも高まっています。自然環境の問題だけでなく、安全性や品質の確保、労働者の人権問題に積極的に取り組むことも求められています。J-オイルミルズは持続可能な原料調達のため、「環境方針」や「人権方針」を基盤に、「サステナブル調達方針・調達基準」を定め、サプライチェーン全体で持続可能な調達活動を推進していきます。
大豆調達方針
大豆は当社の事業活動を支える重要な原料の一つです。食用油や各種大豆加工食品などの用途に加え、バイオディーゼル燃料、家畜の飼料など食用以外の用途でも広く利用されており、国際的な大豆への需要は増加の一途をたどっています。その一方で、大豆の生産活動によって引き起こされる可能性がある森林破壊などの環境問題、先住民、労働者の人権侵害などといった社会問題の存在が指摘されています。
当社では、主に米国、ブラジルから大豆を調達し、製品を製造してお客様に供給しています。原料の調達に際しては「サステナブル調達方針・調達基準」に基づき、持続可能性の向上に取り組んでいますが、大豆に関しては環境や人権に配慮した調達を行うため特に「大豆調達方針」を定めるとともに、責任ある大豆に関する円卓会議(RTRS※)に加盟しています。食を支える企業として、社会的責任を果たすためトレーサビリティの向上を目指し、透明で責任ある大豆の調達に努めてまいります。
※Round Table on Responsible Soy Association: 2006年にスイスのチューリッヒで設立された責任ある大豆の生産、取引、利用の拡大を促進する非営利団体です。
パーム油調達方針
アブラヤシから搾油されるパーム油は、我々の生活に欠かせない油脂ですが、近年、その生産過程では森林減少やそれに伴う生物多様性の消失、現地労働者の人権問題などが指摘されています。油脂原料の中でも特に課題の多いパーム油について、責任ある調達を実行するため、J-オイルミルズは2011年に「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に加盟し、横浜工場でRSPO認証パーム油を扱うための工場認証を取得しました。また2020年、環境や人権に配慮したパーム油調達に関する考え方を「パーム油調達方針」として定めています。
パーム油調達方針(PDF:851KB)
(Japanese text only)
パームサプライヤートレーサビリティ調査
パーム油トレーサビリティ調査は、パーム油の供給チェーン全体を追跡し、各段階を明確にするプロセスです。持続可能な生産方法の確認、環境保護、社会的責任の確保を目的としています。
当社は2018年度にトレーサビリティを開始、2019年度にパーム油精製工場までのトレース率100%を、2021年度にパーム油搾油工場までのトレース率100%を、それぞれ達成しました。現在は、農園までのトレーサビリティ100%を2030年度までに達成することをマテリアリティの定量目標としています。2023年度の農園までのトレース率は40.7%であり、2024年度の目標は50%です。

GH社(グッドホープ社)との取り組み
J-オイルミルズと資本・業務提携をしているPremium Vegetable Oils Sdn Bhd (PVO社)は、マレーシアを拠点とする油脂加工品会社です。PVO社の親会社であるPremium Nutrients
Private Limited(PNPL社)は、シンガポールに本社を置く大手パーム油プランテーションおよび油脂生産事業会社であるGoodhope Asia
Holdings(以下:GH社)の完全子会社にあたります。
GH社は、事業全体において森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(No deforestation, No Peat, No
Exploitation:NDPE)などの原則をサプライチェーン全体に適用し、持続可能性への取り組みにおいて高い評価を獲得しています。また、自社農園のある地域やその周辺地域社会の持続可能な経済活動支援も行っており、その中には小規模農園支援や自社農園内のヘルスケア、教育施設の整備なども含まれています。当社は、GH社との協働を、持続可能な調達のための取り組みとして推進していきたいと考えています。
GH社HP
http://www.goodhopeholdings.com/

トレーサビリティ向上への取り組み
食を取り巻く環境は多岐にわたる課題を抱えています。
気候変動による穀物の収穫量減少や新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による労働者不足などにより穀物・植物油需給がひっ迫し、その結果として価格変動リスクも高まっています。
また、原料調達においては、安全性や品質の確保、労働者の人権への配慮も重要です。
当社は、持続可能な原料調達のため、パーム油のトレーサビリティ向上に取り組むとともに、大豆調達についても情報収集を開始しました。
企業は新たな課題やニーズを敏感にとらえ、その責任を果たしつつ、新たな価値を提供することにより、環境や社会課題の解決に能動的に取り組まなければなりません。経済、環境、社会・労働環境、すべてにおいてサステナビリティを追求し、ESG経営を推進していきます。
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2024年の取り組み
年月 活動内容 2024年11月 スペイン オリーブ産地、サプライヤー訪問 2024年11月 RSPO年次総会参加 2024年11月 マレーシア パーム農園、サプライヤー訪問 2024年11月 オーストラリア オリーブ油サプライヤー訪問 2024年10月 米国、カナダ 大豆・菜種輸出業者訪問 2024年9月 米国 大豆産地、輸出港視察 2024年8月 カナダ 菜種産地、輸出港視察 2024年8月 米国 大豆産地 カナダ 菜種産地視察 2024年7月 ギリシャ、イタリア オリーブ産地、サプライヤー訪問 2024年7月 カナダ 菜種産地、輸出港視察 2024年3月 オーストラリア 菜種輸出業者訪問 2024年3月 ブラジル 大豆産地、輸出港視察 2024年2月 スペイン オリーブ油サプライヤー訪問
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2023年の取り組み
年月 活動内容 2023年12月 ギリシャ、トルコ オリーブオイル農園視察・サプライヤー訪問 2023年10月 スペイン、イタリア オリーブオイル農園視察・サプライヤー訪問 2023年9月 米国 大豆産地視察 2023年7月 - スペイン、イタリア オリーブオイルサプライヤー訪問
- オランダ、ベルギー バターサプライヤー訪問
- カナダ 菜種輸出港湾視察
2023年3月 - 大豆産地・輸出港湾視察
- 米国 大豆輸出港湾視察
2023年2月 - スペイン オリーブオイルサプライヤー訪問
- アイルランド バターサプライヤー訪問
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2022年の取り組み
年月 活動内容 2022年11月 - RTRS年次総会参加
- RSPO年次総会参加
2022年10月 アメリカ、カナダ産地視察 2022年9月 - スペイン オリーブオイルサプライヤー訪問
- アイルランド バターサプライヤー訪問
2022年4月 - スペイン オリーブサプライヤー訪問
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2020年の取り組み
年月 活動内容 2020年2月 スペイン 菜種サプライヤー訪問
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2019年の取り組み
年月 活動内容 2019年11月 - スペイン、イタリア オリーブオイル農園訪問
- RSPO年次総会参加
2019年8月 - アメリカ スターチ用バラエティコーン農家訪問
- インドネシア パーム油サプライヤー訪問
2019年7月 カナダ 菜種搾油工場訪問 2019年6月 RTRS年次総会聴講 2019年5月 - オーストラリア オリーブ農園訪問
- マレーシア パーム油サプライヤー訪問
※2020、2021年度はコロナ禍で海外視察無し
サプライヤーの皆様との取り組み
持続可能な調達の実効性を高めるためにはサプライヤーの皆さまとの協働が重要です。当社は「サステナブル調達方針・調達基準」を定め、自社だけでなくサプライヤーの皆さまに順守をお願いするとともに、2022年度より国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが作成した「CSR調達セルフ・アセスメント質問表」(GCNJ共通SAQ※1)を用いて、原料・資材のサプライヤーへ調査を実施し、サステナビリティへの取り組み状況を確認しています。2023年度には、対象範囲を広げ追加調査を実施しました。今後も定期的に調査を実施し、責任あるサプライチェーンの構築に努めます。
※1この質問表は、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが作成しており、国際的規範に基づき、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止の4分野に関わる10原則を反映した設問で構成されています。- 調査対象: 原料・資材調達先
- 調査対象企業カバー率:原料・資材調達金額の約80%
SAQ得点率・評価 | サプライヤー | フィードバック・改善アクション |
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A評価 得点率70%以上 |
82.8% |
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B評価 得点率40-70%未満 |
17.2% | |
C評価 得点率40%未満 |
0.0% | |
回答計 | 100% |
(2022-2023年度累計実績)
※質問書の再提出があったお取引先さまについては最新の結果にて集計