人権尊重
人権方針
当社グループはグローバルな調達網・販売網を有していることから、サプライチェーン全体における人権尊重は、企業の当然の責任であると認識しています。この認識に基づき、2020年度に策定した「人権方針」は、当社グループ全役員、全従業員、ならびにサプライヤー様を含むビジネスパートナーに対しても適用し、当社グループに関わる業務においてステークホルダーの人権の尊重に努めていただくよう働きかけ、取り組みを推進しています。
2.適用範囲
本方針は、J-オイルミルズグループの全役員、および全従業員に適用します。また、サプライヤー様を含むビジネスパートナーに対しても、J-オイルミルズグループに関わる業務において人権を尊重し、本方針への遵守を要請します。
推進体制
人権尊重の取り組みは、「サステナビリティ委員会」傘下の「人権部会」において推進しており、活動内容は定期的に経営会議、取締役会へ報告され、両会議が監督・指示を行っています。また社会的要請の高まりや、人権に関するリスクの重要性、顕在化した際の影響度などを考慮し、「人権に関するリスク」を経営リスクとして明確化し、経営リスク委員会においても重点的に管理しています。

人権尊重の取り組み全体像

ロードマップ
| ~2024年度 | 2025年度〜2026年度 | 2027年度〜 | |
|---|---|---|---|
| 方針 |
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| 人権DD ※1 |
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| 救済 |
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※1 デューデリジェンス
※2 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)により作成された各業界共通の「CSR調達 セルフ・アセスメント・質問票」。国際的規範に基づき、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止の4分野に関わる10原則を反映した設問で構成されている。SAQ調査の結果はサプライチェーンマネジメントに掲載。
人権デューデリジェンスの実施
「人権方針」の実効性担保のため、人権デューデリジェンスを実施しています。「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」に基づき、人権侵害のリスクを特定・評価し、それに対して予防・是正・軽減措置を講じ、結果を検証・公表する一連のプロセスを行っています。今後、救済体制の強化に向け、外部ステークホルダーが相談できる窓口設置の検討を進めていきます。
| 項目 | ステークホルダー | 主な課題認識 | 課題に対する対策の方向性 | 2024年度までの実績 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 人権DD※1 | 影響・評価 | 従業員 | 従業員への直接的なアプローチによる影響・評価の未実施 | ライツホルダーとの対話 | 従業員への人権影響・評価の実施 |
| 海外グループ会社 | 在マレーシア法人の調査未実施 | 海外法人の実態把握 | 在マレーシア法人の実態把握に向けた調査実施 | ||
| サプライヤー | 2022年度に実施したSAQ※2の分析結果に基づく改善要請やモニタリングなどの対応 | 継続的な影響・評価のための仕組みづくり | SAQ※2の対象範囲の拡大と、分析結果に基づく一部サプライヤーとの対話実施 | ||
| 外国人技能実習生 | 外国人技能実習生との直接対話の未実施 | 脆弱な立場にあるステークホルダーへの対応 | 労働条件・労働環境の直接対話による実態把握 | ||
| 防止・軽減 | サプライヤー | 新規取引の判断軸にESGの観点が含まれていない | 新たな事業活動や取引関係に入ろうとする場合の影響・評価 | 新規取引におけるESG観点を含めた影響・評価の運用に向けた検討 | |
| 情報開示・リテラシー向上 | 全てのステークホルダー | 課題の改善状況をチェックするモニタリング機能の構築 | 人権DD※1の実効性評価 | ギャップ分析で抽出された各課題に対する実施内容と進捗状況のモニタリング | |
| 人権に係る開示の充実化 | 継続的な情報開示の拡充 | 統合報告書および当社WEBサイトでの開示 | |||
| 救済処置 | 海外グループ会社 | 海外グループ会社の相談窓口の周知が十分であるかどうかの実態の確認 | 相談窓口の周知徹底 | 英文版ヘルプライン案内の発信 | |
| 外部ステークホルダー | 外部ステークホルダーがアクセスできる相談窓口の設置と体制整備 | 苦情処理メカニズムの確立 | 外部ステークホルダーへの相談窓口の体制構築に向けた方針整理 |
従業員と会社が対話できる仕組み
当社は、従業員の労働組合への加入、および、結社の自由、団体交渉の権利を尊重します。当社とJ-オイルミルズ労働組合との間で締結されている労働協約に基づき、労使間で様々な労働条件について協議を行い、労使が協力して働きやすい環境づくりに努めています。当社の労働組合員数は649名、労働組合員比率は99.2%です(2024年度)
外国人技能実習生へのヒアリング
外国人技能実習生が脆弱な立場にあることを踏まえ、当社グループ会社の請負先2社に人権方針の説明やヒアリングを実施し、雇用契約などの受け入れ実態やサポート体制などを重点的に確認しました。また、実習生本人と就労・生活環境などについて直接対話を行っています。その結果、深刻な人権侵害は見当たりませんでしたが、今後も定期的なヒアリングや対話を継続し、サプライチェーン上の人権課題の特定に努めます。
サプライチェーンにおける人権尊重の取り組み
当社グループは「サステナブル調達方針・調達基準」を定め、サプライヤーの皆さまとともに人権、環境に配慮したサステナブルな調達を進めています。事業活動を支える原材料の一つであるパーム油について、責任ある調達を実行するため、2011年から「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に加盟し、2020年に「パーム油調達方針」を策定いたしました。大豆についても同様に、2022年8月に「責任ある大豆に関する円卓会議」(RTRS)に加盟するとともに「大豆調達方針」を策定し、透明で責任ある調達に努めています。これらの方針をお取引先さまと共有するだけでなく、実効性を担保し、継続的な人権影響評価を行うための仕組みとして、サステナビリティ条項入りの契約書の締結を進めており、ほぼ全ての原料関連のお取引先さまとの締結を完了しています。2022年度からは原料・資材調達金額の約8割を占めるサプライヤーを対象にSAQ※2による人権影響・評価を開始し、対象先を順次拡大させています。課題が見られたサプライヤーには結果をフィードバックし、改善に向けた対話を行いました。
2023年度には、マレーシアにおけるパーム油の人権影響評価として現地パーム油精製会社、積地などを訪問、対話を行い、今回の点検範囲において深刻な人権侵害は見当たらないことを確認しました。
また2024年度は、ブラジルにおける大豆の人権影響・評価として農家、輸出業者などを訪問し、対話を行った結果、機械化が進み、手作業による労働安全衛生面などの人権リスクが軽減され、現地企業の取り組みによって適切な管理が進められていることを確認しました。一方、ブラジル特有の課題は依然残っており、サプライチェーンの透明性向上や人権に関する相互理解醸成などに向けた働きかけの重要性が確認されました。
苦情処理メカニズムの確立と救済措置
全ての従業員が安心して働ける職場環境の実現を目指し、ハラスメント防止に向けた多角的な施策を実施しています。内部通報制度(ヘルプライン)においては、匿名または記名での相談を可能とし、早期対応と是正を図っています。
教育・啓発活動
人権侵害によるビジネスインパクトの事例紹介など、企業が人権について取り組む意味を説明し、人権意識の向上、人権尊重の風土づくりを推進するため、従業員へ研修を実施しています。2023年度より毎年、国内外の当社グループ全従業員(役員、派遣社員、契約社員、パート社員含む)を対象に人権e-ラーニングを実施し、ビジネスと人権、当社の人権方針の周知、人権デューデリジェンスから抽出された課題の取り組み、サプライチェーンを含めた企業としての人権への責任などについて理解を深めています。2024年度は、人権方針の理解や当社の人権リスクに関する具体的な取り組みに焦点を当て、受講率は95%以上となりました。また、サステナビリティe-ラーニングも毎年実施し、日々の業務への落とし込みや当事者意識の醸成に努めています。
新任管理職研修においてもハラスメント防止教育を必須プログラムとして組み込み、実際の事例を用いたケーススタディを通じて、管理職がリスクを認識し、適切に対応できるスキルを習得することを目指しています。さらに、2025年度には管理職を含む全従業員を対象にハラスメント防止教育を実施し、参加率は約90%を達成しました。こうした取り組みを継続的に強化し、ハラスメントに関する正しい知識と適切な対応策を全従業員が身に付けることで、一人ひとりが尊重される職場環境の実現を目指しています。
賃金の管理
労働基準法をはじめとする関係法令を遵守するとともに、労働協約および労使協定を適切に締結・運用し、法定最低賃金の確保を徹底しています。また、「同一労働同一賃金」の理念に基づき、雇用形態にかかわらず、従業員に対して公正かつ適正な給与を支給しています。さらに、同一資格・同一職務レベルにおいては、性別にかかわらず統一された報酬体系を適用し、平等な処遇の実現に努めています。当社は、これらの方針のもと、従業員の働きがいと納得感を高める賃金制度の構築・運用を継続的に推進しています。
ビジネスと人権に関する社外プログラムへの参加
当社はグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下、GCNJ)会員として、2025年度よりGCNJが主催する分科会に参加しています。本分科会では、有識者講演や会員同士の意見交換を通じて最新の情報に触れ、国際視点に立った人権の方針や課題を捉え直し、更なる知見を深めています。