人権の尊重
人権方針の策定
当社は、2020年度に「人権方針」を策定し、ステークホルダーの人権尊重に努めています。
推進体制
当社は、「サステナビリティ委員会」傘下に設置する「人権部会」および「経営リスク委員会」傘下に設置する「コンプライアンス部会」において、人権尊重の取り組みを推進しています。「サステナビリティ委員会」および「経営リスク委員会」はその活動内容を定期的に経営会議、取締役会へ報告し、経営会議、取締役会はその活動の監督、指示機能を有しています。当社は、2020年に「J-オイルミルズグループ人権方針」を定め、これまでも人権尊重への取り組みを行ってきましたが、企業による人権対応に対する社会的な要請の高まりや、当社グループにとっての人権に関するリスクの重要性、顕在化した際の影響度等を考慮し、2022年度より「人権に関するリスク」を経営リスクとして明確化し、経営リスク委員会において重点的に管理しています。
人権尊重の取り組み全体像
人権デューデリジェンスの実施
「人権方針」の実効性担保のため、人権デューデリジェンスを実施しています。
「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」に基づき人権DDプロセス構築における課題、ステークホルダーを特定し、当社の現状と検討事項を整理しました。今後、課題の緊急度と重要度による優先順位付けを行い、対応策を決定し取り組みを進めていきます。
取り組み事項 | ステークホルダー | 主な課題認識 | 対応策 | |
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人権DD | 影響評価における ステークホルダーとの対話 |
従業員 | 従業員への直接的なアプローチによる影響評価ができていない | 従業員に対する人権影響評価の実施 |
海外グループ会社 | 海外法人においては、在マレーシア法人は調査未実施。 すでに調査済みの在タイ法人と同様に、状況の把握が必要 |
在マレーシア法人の実態把握に向けた調査を開始する | ||
継続的な影響評価のための 仕組みづくり |
サプライヤー | 2022年度に取引先に対して実施したSAQの分析結果に基づく サプライヤーへの対応 (改善要請、モニタリングなど) |
サプライヤーへのフィードバックとエンゲージメント(サプライヤーとの対話の実施) | |
脆弱な立場にある ステークホルダーへの対応 |
外国人技能実習生 | 請負会社へのヒアリングは実施しているが、 実際に影響を受ける外国人技能実習生と 直接対話することが望ましい |
外国人技能実習生との直接対話 | |
新たな事業活動を行おうとし または新たな取引関係に入ろうとする場合の 影響評価 |
サプライヤー | 新規取引の判断軸にESGの観点が含まれていない | 新規の取引先評価に人権を含めたESGの観点を追加 | |
人権DDの実効性評価 | 全てのステークホルダー | 課題が改善しているかをチェックする モニタリング機能の構築 |
あるべき姿を定めたうえで、 定性・定量的指標を設け、実効性評価の仕組みづくり |
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継続的な情報開示の 拡充 |
人権に係る開示の充実を図ることが望ましい | 統合告書やWEBでの継続的な開示の充実 | ||
救済処置 | 苦情処理メカニズムの確立 | 海外グループ会社 | 海外グループ会社の相談窓口の周知が十分であるか実態の確認 | 海外グループ会社に対して、 相談窓口(社内および社外)の利用に関する啓発活動を強化する |
外部ステークホルダー | 外部ステークホルダーがアクセスできる相談窓口の設置と体制整備 | 相談窓口の外部機関候補の選定および 救済に向けた意思決定プセス、 責任者を明確にするなど救済措置の体制整備 |
サプライチェーンにおける人権尊重の取り組み
当社は、「サステナブル調達方針・調達基準」を定め、サプライヤーの皆さまとともに、人権、環境に配慮したサステナブルな調達を進めています。
当社の事業活動を支える原材料のひとつであるパーム油について、責任ある調達を実行するため、2011年から「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)に加盟し、2020年に「パーム油調達方針」を策定いたしました。大豆につきましても同様に、2022年8月には、「責任ある大豆に関する円卓会議」(RTRS)に加盟し、「大豆調達方針」を策定いたしました。大豆についても、透明で責任ある大豆の調達に努めてまいります。このような「サステナブル調達方針・調達基準」「パーム油調達方針」「大豆調達方針」をお取引先様と共有し、サプライチェーン全体で人権、環境に配慮した透明で責任ある取組みを進めてまいります。方針の実効性の担保、継続的な人権影響評価の仕組みとしては、2022年よりサプライヤー様に向けたSAQを実施し、対話を含めたフィードバックを行っております。また、2024年には、マレーシアにおけるパーム油の人権影響評価として現地パーム油精製会社、積地などを訪問、対話を行い、今回の点検範囲において深刻な人権侵害は見当たらないことを確認しています。
従業員の意識向上への取り組み
当社は従業員へサステナビリティ研修(*旧CSR研修)を実施しています。人権侵害によるビジネスインパクトなどの事例紹介など、企業が人権について取り組む意味を説明し、人権意識の向上、人権尊重の風土づくりを推進しています。
また、ハラスメント防止に向けての取り組みとして、内部通報制度(ヘルプライン相談窓口)の周知徹底や、ダイバーシティ推進のための「カシオペアWプロジェクト」の取り組みなどを通じ、従業員の人権を守る取り組みも進めています。
従業員と会社が対話できる仕組み
当社は、従業員の労働組合への加入、および、結社の自由、団体交渉の権利を尊重します。当社とJ-オイルミルズ労働組合との間で締結されている労働協約に基づき、労使間で様々な労働条件について協議を行い、労使が協力して働きやすい環境づくりに努めています。当社の労働組合員数は727名、労働組合員比率は100%です(2023年)。
賃金の管理
当社は、労働基準法や労使協定に基づき、法定最低賃金を遵守しております。