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「おいしさ×健康×低負荷」を具現化「スマートグリーンパック®」「Violife」

2023年 3月31日  日本食糧新聞 村岡直樹
「おいしさ×健康×低負荷」を具現化「スマートグリーンパック®」「Violife」

サステナビリティ経営を独自の形で推進するJ-オイルミルズ。目指すべき未来(ビジョン)として掲げる「おいしさ×健康×低負荷」を具現化する商品も数多く展開している。中でも地球と人に優しい紙パック容器シリーズ「スマートグリーンパック®」は、その代表格だ。
ポリ容器やPETボトルが主流の家庭用食用油の中で、「スマートグリーンパック®」シリーズでは紙パック容器を採用することによりプラスチック使用量を60%以上削減※1、プラスチック廃棄物の削減やごみ容積の削減に貢献し、また、生産から廃棄までの製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を26%以上削減※1している。

※1当社計算。従来のプラスチック製の同容量帯容器と比較。

当社計算の従来のプラスチック製の同容量帯容器と紙製品スマートグリーンパック®との比較図

さらに、油だれしにくく、注ぐ量を調節できるダブルキャップや、ごみ容量を半減できる折りたたみ線入りな点も嬉しい。パッケージは酸素バリア性や遮光性に優れ、風味とおいしさも保持できる。また、四角型の紙容器のため整頓しやすく収納性にも優れるなど、地球はもちろん使う人の低負荷も実現し、高い評価を得ている。2021年の発売開始以降、順調に拡大している。2023年3月現在、キャノーラ油や大豆油、オリーブオイルやごま油、こめ油など9品を揃える。

当然ながら紙パック容器はポリ容器やPETボトルとは製造工程が大きく異なる。「スマートグリーンパック®」シリーズは2019年から開発を開始したが、既存品とは根本から異なるコンセプトのため、設計や開発に加え、設備や工務など各チームが商品開発に参加した。全社を挙げて低負荷を実現する新シリーズとして開発にあたり、満を持して商品化された経緯がある。

フードデザインセンターに所属し、全社の商品開発を横串でみている木村義治氏は「製品には至る所に使い勝手を高める機能が付与されていますが、開発では例えばダブルキャップの場合、使用試験は数千回以上を軽く数え、試作は実に数十品に及びました。」と話す。「お客様に低負荷をお届けすべく妥協を許さない熱い思いが、『スマートグリーンパック®』には込められています。」

「スマートグリーンパック®」シリーズの商品画像
購入時・使用時・破棄時の全場面でメリットを享受できる「スマートグリーンパック®」シリーズ。
2023年2月にはデザイン刷新とラインアップ拡充を同時に実施、多くの反響を得ている。

当社600gPETと紙パック500gを各5本たたんだときの比較画像

食用油とは異なるが、2021年から展開中の乳系プラントベースフード「Violife(ビオライフ)」も地球と人に優しいシリーズ。植物由来のチーズを豊富なラインアップで展開する「Violife(ビオライフ)」は、ココナッツオイルなどの植物を主原料としており、日本で一般的に販売されている乳製品のチーズと比較して生産から廃棄までの製品ライフサイクルにおける二酸化炭素排出量は30%以下、土地占有面積も25%以下と地球環境の負荷低減に貢献している。

生活者の視点で見ても、ヴィーガンやベジタリアンの方たちはもちろん、アレルギー物質(特定原材料等)28品目不使用のため、食の多様化に正面から対応。評価の高いおいしさと合わせ、今後、フレキシタリアンはじめ、多くの生活者に普及浸透していくことが予想される。

植物生まれのチーズ「Violife(ビオライフ)」を使用した料理の画像
植物生まれのチーズ「Violife(ビオライフ)」シリーズの商品画像
植物生まれのチーズ「Violife(ビオライフ)」
※乳製品ではありません。

環境負荷抑制は社会の最重要課題

技術革新や経済発展により私たちの生活は飛躍的に便利となり、豊かなものとなった。この裏で急速に地球環境や資源環境が大きく悪化していることは周知の通りだが、中でも温室効果ガスによる平均気温上昇(地球温暖化)と、大量消費による陸上・海洋資源の枯渇化は深刻な状況にある。
温暖化は最悪の場合、今世紀中に地球上平均気温が最大5.7度上昇すると予想されている(IPCC第6次評価報告書)。また、資源の枯渇化は例えば石油の場合、可採年数はすでに50年間前後とされている(資源エネルギー庁公表)。世界人口が80億人に達し、2058年には100億人を突破する見込みもある中、資源の保全を含めて環境への負荷を抑制していくことは全人類が抱える最重要課題であり、無対策は暮らしを脅かす深刻な事態の危機につながる。

一方、日本の食品産業では多くの業界で、原料を海外から輸入調達し、製品製造が行われている形となっている。食料自給率が低い日本の食品業界にとって海外からの原料調達は生命線。とりわけ食用油業界は菜種や大豆、パーム油やごまなど主原料の大半を海外に依存する。
温室効果ガスの排出量増加に伴う地球温暖化は、猛暑や熱波、豪雨などの異常気象の原因のひとつと考えられている。異常気象による農作物の収穫量の減少は原料確保の面でも極めて重要な解決すべき課題だ。食料自給率の低い日本において、深刻化する世界の食料事情は対岸の火事ではない。生命線である原料調達を維持するためにも、サステナブルな活動は不可欠なものだ。サステナビリティ経営は企業の持続性にも繋がる重要なミッションと言えるだろう。

「全社横断型」体制

地球のため、人類のため、企業持続のため、食用油メーカーにできることは何だろう?
J-オイルミルズでは2020年、全社的にサステナビリティを推進する基盤として「サステナビリティ委員会」を設置。2022年には、サプライチェーン全体での気候変動対策を最重要事項と位置づけ、委員会傘下の「環境部会」と「サステナブル調達部会」を「サステナブル調達・環境部会」に統合して体制強化を図り、「人権部会」「サステナブル商品開発部会」の3つの部会を合わせた新しいサステナビリティ委員会を発足させた。各部会の傘下には環境や調達、パッケージングなどの分科会を設置し、グループ会社を含む部門の代表者が構成メンバーとなり、全社横断型の体制で活動を行っている。

サステナビリティ委員会の事務局を務めるコーポレートコミュニケーション部の春野敦子氏は、「地球温暖化が一因とされる異常気象によって原料の価格が高騰しており、サステナビリティ活動は食用油業界にとって喫緊の問題です」と強調する。
「サステナビリティ委員会は四半期ごとに、経営会議、取締役会へ活動の進捗報告を行い、取組みへの指示、監督を受けています。社会からの要請や環境変化に対応するため、全社横断的に、課題の解決に向けた議論を重ねています。経営陣を含め、様々な知見を持つ従業員が意見を出し合うことにより、より広い視野でサステナブル活動を進めていくことが可能となります」―――喫緊の問題に対し、全社視点で持続可能な社会実現への貢献を進める方針だ。

前述のフードデザインセンターの木村義治氏は「サステナブル商品開発部会」に所属する。J-オイルミルズでは2021年から新ビジョン「Joy for Life® –食で未来によろこびを–」を策定、目指すべき未来(ビジョン)として「おいしさ×健康×低負荷で人々・社会・環境へ貢献する」方針を示しているが、「環境面はもちろん、お客様自身が価値を実感できる低負荷への取り組みも重要です」と考える。
「例えばJ-オイルミルズでは油を長持ちさせる独自技術『SUSTEC®※2』を保有していますが、使用量削減による資源保全や、サプライチェーン全体での活動抑制による二酸化炭素排出量削減に加えて、お客様サイドでは調理現場での油交換回数や廃油回収時間が削減できるメリットがあります」
J-オイルミルズでは社会・環境の負荷低減は商品開発の重要なチェックポイントとなる。「独自のガイドラインを策定し、『低負荷』価値を実現する商品設計になっているかをチェックしながら、商品開発を進めています。もちろん、利便性や調理環境の改善に貢献する商品開発を進めています。低負荷を基軸にしながら、おいしさや健康を両立する形で、地球にも人にも優しい、そんな商品開発を今後も進めていければ」と意欲は高い。

※2油の酸化や着色を低減する独自特許技術。バージョンアップを継続しており、食用油業界を代表する「長持ち技術」で知られる。



JOYLロゴマークの油滴に込められた意味の画像。Joy for Lifeをかなえる 今日を生きる一人ひとりのJoyをどちらもかなえるサステナブルな未来を目指す 「つなげる」仲間とつながり、世の中とつながりより大きなJoyを生み出し続ける 「創る」仕事の先に相手を、顧客を、社会を想い期待を超えて新しいJoyを創り続ける 「究める」なぜ?を大切に本質を究め日本からまだ世界にないJoyの種を究め続ける



CO2排出量削減については、2030年度までに、Scope1(自社の直接排出)、Scope2(他供給エネルギー使用による間接排出)の総排出量50%削減(2013年度比)と、2050年度でのカーボンニュートラル(排出ゼロ)を目標とし、脱炭素へ向けた取り組みを進めている。資源・耕作地の持続可能性担保や、資源保全、プラスチック問題への取り組みなどでも、2030年度までにパーム農園までの100%トレーサビリティ化(13年比)、サステナブル商品、またはお客様の声活用商品の開発比率70%、プラスチック廃棄ゼロなど明確な目標を設定しており、今後さらに持続可能な循環型社会の実現に貢献する方針だ。
「SUSTEC®」を活用した業務用製品「長徳®」シリーズの「CFPマーク」(第3者機関による環境認証プログラム)取得など、いずれも社会的な注目を集めている。

「SUSTEC®」を活用した業務用製品「長徳®」16.5g缶の商品画像と「CFPマーク」の画像

2023年 3月31日  日本食糧新聞 村岡直樹