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新しい「腸活」で
理想のカラダをデザイン

「レジスタントスターチ」
腸内の働き方改革

カラダ全体の司令塔である腸。
腸をキレイにする「腸活」によって、
美しく健康的なカラダをデザインしましょう。

「腸活」の主役は腸内の善玉菌。
善玉菌の働きを活性化させるのが、
ハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」です。

Why 腸活?「腸活」は美容と健康の基礎
腸内環境は母から子にも伝わる女性と女の子のイラスト

腸は“第2の脳”と呼ばれる、カラダ全体の司令塔

腸は“第2の脳”と呼ばれることをご存じでしょうか? 消化器の一部である腸は、カラダ全体の調子を整える司令塔でもあるのです。

人間は食事によって栄養素を摂取し、老廃物を排泄します。口から食べたものは、胃で消化され、小腸で分解されて、体内に吸収されます。吸収されなかったものが大腸で便になる、というプロセスです。

一方、老廃物が排泄されず体内に溜まっていくと、カラダ全体が正常に機能しなくなります。だからこそ腸内をキレイにする「腸活」で、カラダ全体を内側からキレイにする必要があるのです。

「腸活」をするメリット!!しないリスクは?

腸内をキレイにする効果として、真っ先に思い浮かぶのが便秘の解消でしょう。老廃物が大腸に溜まっていくと不快なだけでなく、大腸ガンなどの深刻な疾病にもつながります。

また、肥満が気になる方、ダイエットを始めたい方にも、「腸活」はおすすめです。加えて、肌荒れ対策、精神安定、生活習慣病予防など、カラダ全体の調子に影響を及ぼします。

しかも腸内環境は、出産時に「母から子へ伝わる」といわれます。「腸活」は自分自身のためだけではないのです。

「腸活」のポイントは善玉菌と食物繊維

人間の腸内には、1000種類以上・100兆個もの腸内細菌が住んでいます。その様子が花畑のようにも見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれます。

腸内細菌の中には、カラダに良い影響を与える「善玉菌」もいれば、悪い影響を及ぼす「悪玉菌」もいます。「腸活」で目指すのは、できるだけ善玉菌を増やし、活発に働かせることで、腸内をキレイにすることです。

善玉菌の活性化に有効な成分として、食物繊維をご存じの方は多いでしょう。これに加え、新たに注目を集めている成分があります。「レジスタントスターチ」(難消化性でん粉)です。

腸活をするメリット 肥満防止、生活習慣病予防、精神安定など。腸活をしないリスク 便秘、大腸ガン、肌荒れなど

How to 腸活これが「腸活」の新常識
食物繊維を超える
「レジスタントスターチ」 イラストの画像

ハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」とは?

従来、「でん粉」は小腸で全て分解・吸収されると考えられていましたが、「分解・吸収されにくい性質のでん粉」も存在することが、近年の研究で明らかになりました。これが「レジスタントスターチ」(難消化性でん粉)です。

分解・吸収されにくい性質が、食物繊維と「レジスタントスターチ」の重要な共通点です。とはいえ、レジスタントスターチは、単なる食物繊維の代用品にとどまりません。

食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類がありますが、「レジスタントスターチ」はこれらの2つの特徴を兼ね備えているのです。まさに“ハイパー食物繊維”と呼べるでしょう。

善玉菌の家になる —— 不溶性食物繊維と同様の役割

「腸活」の主役を担うのが、腸内で働く善玉菌です。善玉菌が腸内で生き続けるには、家が必要になります。その家となるのが不溶性食物繊維(野菜のセルロース、カカオのリグニンなど)であり、同じく分解・吸収されにくい性質を持つ「レジスタントスターチ」です。

居心地のよい家を得た善玉菌は、腸内で働きながら、大腸の奥深くにある直腸まで運ばれます。その結果、腸内の不要なものが便として排泄され、体内をキレイにできるのです。

善玉菌のエサになる —— 水溶性食物繊維と同様の役割

善玉菌が腸内で生き続けるには、エサも必要になります。そのエサとなるのが水溶性食物繊維(果物のペクチン、コンニャクのグルコマンナンなど)であり、善玉菌が好むブドウ糖の塊である「レジスタントスターチ」です。

おいしいエサを得た善玉菌は、腸内で増殖するとともに、短鎖脂肪酸という物質を排出します。これが大腸の粘膜を厚く丈夫にして、毒素の侵入を防ぎ、免疫力を高めてくれるのです。また、血中脂質や血糖値の急激な上昇を抑える可能性もあり、生活習慣病の予防効果が期待されています。

ハイパー食物繊維だからこそ、果たせる役割がある

大腸の奥深くにあり、大腸ガンや潰瘍性大腸炎などの発症部位にもなる直腸。この直腸まで善玉菌をしっかりと運び、必要な短鎖脂肪酸を供給するのが、「レジスタントスターチ」の重要な役割です。

この役割は、便として流れ出てしまう不溶性食物繊維、腸の奥に届く前に食べられてしまう水溶性食物繊維には果たせません。2つの食物繊維の長所を兼ね備えた「レジスタントスターチ」だからこそ果たせるのです。

大腸でのレジスタントスターチの役割のイラスト画像

Let’s 腸活!「腸活」は流行ではなく科学
自分のカラダは自分で
デザインしよう 白衣を着た女性と女の子のイラスト画像

食べ物で自分の腸内をデザインできる

自分のカラダの状態を把握するには、カラダからの“お便り”である便を観察するといいでしょう。人間の便の80%は水分で、残りは食物繊維、腸内細菌、剥がれた大腸粘膜などです。便の量と質に着目して、日々の変化を見逃さないようにしましょう。

便の量を増やすには、不溶性食物繊維または「レジスタントスターチ」が有効です。大腸内の老廃物から便を作り、便がある程度の大きさになると大腸が刺激され、便意を感じます。また、水溶性食物繊維も善玉菌を増やすことで、間接的に便の量の増加に影響します。

便の質をよくするには、水溶性食物繊維または「レジスタントスターチ」が有効です。善玉菌が増えると有害物質が減り、匂いの少ない便になります。毎日、黄褐色でバナナ状の便がスルッと出るのが理想的です。濃い黒色の便が続く場合、大腸が傷ついている恐れがあるので注意しましょう。

日々の食事で「レジスタントスターチ」を摂取しよう

一般的に食物繊維の摂取目標は1日約20gとされますが、意識的に摂取しないと不足しがちになります。そこで「レジスタントスターチ」の出番です。「レジスタントスターチ」を含む食品は4タイプあり、日々の食事で手軽に摂取できます。

パスタの画像

【タイプ1】米、パスタ、大豆、全粉粒など。炊く前の米は「レジスタントスターチ」が豊富ですが、炊くと「消化されやすいでん粉」に変化します。パスタの場合、アルデンテで茹でれば「レジスタントスターチ」が残ります。

未熟の緑色のバナナ、特定品種のトウモロコシ、コーンスターチの画像

【タイプ2】未熟の緑色のバナナ、特定品種のトウモロコシ、コーンスターチなど。料理やお菓子作りのとき、小麦粉の一部を代わりにコーンスターチに代えて使うとよいでしょう。

ラップのかかったご飯の画像

【タイプ3】老化したでん粉。例えば冷めたご飯、冷えたポテトサラダなどボソボソとした水分が少なく口当たりの悪い(老化した)でん粉。一度炊いた後でも冷めると元の米に近い(消化されにくい)でん粉状態に戻ります。

ちくわの画像

【タイプ4】各種加工食品に含まれる加工でん粉。

ところで「プレバイオティクス」という言葉をご存じでしょうか。善玉菌を増やす効果を持つ成分を指す言葉で、「レジスタントスターチ」もその一つです。

また、これに似た「プロバイオティクス」という言葉もあります。「プロバイオティクス」はビフィズス菌や乳酸菌などの腸内細菌そのものであり、ヨーグルトや飲料に含まれています。

そして「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」の組み合わせを「シンバイオティクス」と呼びます。カラダによいものを積極的に取り入れていきましょう!

科学の進歩を生かし、健康な未来を

近年、腸内細菌の測定技術が大きな進歩を遂げました。その結果、「“痩せ菌”なるものが存在する?」「トップアスリートには運動能力を高める腸内細菌が住んでいる?」「腸内細菌は脳の働きとも関係がある?」など、興味深い研究が次々と生まれています。

また「レジスタントスターチ」についての研究も進み、お腹が空きにくい「セカンドミール効果」にも注目が集まるようになりました。お腹が空きにくい理由の一つは、食後の急激な血糖値の上昇を抑えること。もう一つは、大腸内で作り出された短鎖脂肪酸が時間差でエネルギーになることです。

「腸活」は一過性の流行ではありません。科学に基づいて、日常的・継続的に取り組むべきテーマです。健康な未来のために、さっそく「腸活」を始めてみませんか?

笠岡 誠一氏の画像

監修:笠岡 誠一
文教大学 健康栄養学部 管理栄養学科 教授、管理栄養士、博士(農学)
日本食物繊維学会評議員、日本栄養改善学会評議員、日本栄養食糧学会代議員
日本栄養改善学会奨励賞受賞(2007年)、優良栄養士表彰(2013年)